第2063話 鎌倉の紅葉 その2〜扇湖山荘


昨日、家内と鎌倉市が1年に数回、各回2日間に限り一般公開している鎌倉山の扇湖山荘(せんこさんそう)に出かけました。


扇湖山荘は昭和初期に、わかもと製薬という会社の創設者である長尾欽彌の別邸として築かれ、本館は昭和9年に飛騨高山の民家を移築し、西洋風な要素も組み入れて改築した立派な建物です。このテラスから眺める鎌倉の海が扇形に見えることから扇湖山荘と呼ばれるようになったそうです。
付属する庭園は有名な庭師の作といわれ、この時期大変美しいもみじの他、梅、さくら、椿、孟宗竹などの林が点在し、伏見宮邸から移築したと伝えられる由緒ある茶室も築かれています。
扇湖山荘はその後、長尾美術館、料亭「鎌倉園」という時代を経て三和銀行が取得し、平成22年10月に鎌倉市が最終所有者である三菱東京UFJ銀行から寄付を受けたものだそうです。


鎌倉山近くの夫婦池公園の駐車場に車を預け、徒歩で15分ほどの扇湖山荘入り口に到着しました。
入り口の門は、その奥にある広大な庭園が想像できないほど質素な物でした。


門を入り、切通しを抜けると緑と紅葉に囲まれた世界になりました。
昨日は曇り空だったため少し霞んだ状態でした。


庭園のもみじは真っ赤な葉と緑の葉の競演状態でした。


黄色が鮮やかなもみじも負けずに美しさを競っています。


茶室の周りも鮮やかなもみじが茶室を引き立てていました。


茶室を過ぎ、入り口の門を跨ぐ橋を渡ると孟宗竹の林になりました。


さらに進むと本館が見えてきました。


本館の鎌倉の海が眺められるテラス側です。
衛星アンテナが取り付けられた所が一階テラスで和風建築になっており、その下は洋風な外観ですが配布された資料には説明が無いため詳細が不明です。
長尾欽彌の妻 長尾よねが欽彌の築いた富を使い切るほど美術品などのお宝を収集したといわれており、これらを保管していたところかも知れません。


1階テラスから眺める鎌倉の海です。
周囲の樹木が伸びすぎ鎌倉の海が扇形に見えなくなったため、少しずつ樹木の先端を切り、昔の眺望に戻るようにしているそうです。


1階の和室は「金の間」と「銀の間」に別れ、すばらしい造りになっています。


1階の居間部分には大きな囲炉裏と何か不似合いなキチンセットがありました。


玄関部分は車寄せもある落ち着いた雰囲気です。


本館の側面から見ると人の立っているところが一階テラスで、その上に2階がありますが、2階は見ることができませんでしたが大きな広間があるそうです。


内部の案内図です。手渡された資料ではその一部しか記載されていませんが敷地面積約15,000坪と書かれていました。


この広大な庭園の維持管理は、鎌倉市と鎌倉造園界が協定を結んでおり、樹木の維持管理については造園界若手職人の技術育成の場として無償で剪定などを行っており、庭園内の清掃作業は鎌倉市の職員が鎌倉造園界の指導を得て行っているそうです。
一般公開日には、維持管理への支援として募金活動も行っており、私たちも少しばかりの寄付を行ってきました。


最後の感想として、今回は紅葉の季節でしたが、庭園内には素晴らしい枝振りの梅や枝垂れ桜等もあり、四季折々に一般公開して欲しいと思いました。
さらに、某テレビ局の番組にある、昔子役だった毒舌タレントの「○○家探し」風にまとめると「この家、買いま〜〜〜〜せん!」というより「この家、買え〜〜〜〜ません!」でした。

今日(11月29日)も一般公開されています。


なお、近くには同じく日本庭園が素晴らしい蕎麦会席の「鎌倉山檑亭」もあります。