作品433 Fairey Gannet AEW.3


Fairey Gannet AEW.3
英海軍   スウォード   1/72
2系統のターボプロップエンジンとプロペラを持ち、2系統同時運用又は1系統のみの運用が出来る艦載早期警戒機。早期警戒活動中は1系統の駆動を止めて燃費を改善できるユニークな機能を持っている。
1958年に初飛行し早期警戒機として運用され、1978年に通常型飛行甲板の空母が退役するまで運用されていた。



第2168話 Fairey Gannet AEW.3 完成 
チェコのスウォード社製キット‘Fairey Gannet AEW.3’ が完成しました。

今回製作した機体は英国海軍第849飛行隊所属機で、空母‘Ark Royal’ に搭載されていた早期警戒機です。


この機体のベースとなったフェアリー・ガネットは第二次世界大戦終戦直後の1945年に英国海軍が計画した艦載対潜哨戒機の要求仕様により生まれ、1949年9月に初飛行しました。
この機種の大きな特長は、二つのターボプロップエンジンと2個のプロペラを持ち、これら2系統を同時に運用したり、1系統だけでも運用できることです。
対潜水艦哨戒活動中は長時間飛行する必要があるため燃費を良くする必要があり、このような時は1系統だけで飛行するそうです。
また、空母に搭載するため主翼が2段階に折りたためる構造になっており、「Z」字形に折りたたんで格納できるようになっています。
下の写真は英海軍第769飛行隊の艦上対潜哨戒機‘Fairey Gannet AS.KMk.1’(トランペッター製)です。


‘Fairey Gannet AEW.3’ は艦船のレーダーでは監視範囲が狭いため、艦隊周辺を上空からレーダーで監視する早期警戒機として開発され、1958年に初飛行しました。
胴体下部に監視用レーダーを内蔵した大型のレドームが追加され、レーダー操作担当は胴体内部に搭乗しました。


英国海軍は1978年に大きな転機を迎え、国防予算削減を目指して‘Ark Royal’ など通常型飛行甲板の空母を全て退役させ、垂直/短距離離発着可能な戦闘攻撃機‘Sea Harrier’ とヘリコプターを運用するスキージャンプ式飛行甲板の軽空母に切り替えました。このため固定翼機の‘Fairey Gannet AEW.3’の運用が出来なくなり退役しました。
これにより英海軍の空母を含む機動部隊から早期警戒機がなくなり、フォークランド紛争(1982年)の時に飛来するアルゼンチン軍の攻撃機を早期に発見できず、英国艦船が餌食になったといわれています。


今回製作したスウォード社製キットの評価は、全体のシルエットが良く、コックピットや脚収納庫の内部など詳細に再現されており評価出来ます。但し、各パーツの合いは問題ないものの、取り付け位置が曖昧なところがあるだけでなく、組立説明書のパーツ番号の指定に誤りがある所もありました。
デカールは大変発色が良く密着性も良好ですが、ベースフィルムが大変薄いため変形しやすく、貼るのに大変苦労します。特にステンシルデータなど小型のデカールは貼り合わせが難しく、一部は貼るのをあきらめました。


最後の仕上げにアンテナ線を機体に取り付けましたが、これはランナーを熱して糸状にしたものを使用しています。