第1627話 宇宙航空研究開発機構・総合防災センター見学


昨日「鎌倉市明るい選挙推進協議会」の行政施設見学会に参加してきました。
見学場所は「宇宙航空研究開発機構JAXA)相模原キャンパス」と「神奈川県総合防災センター」の2箇所です。


この見学会の参加者は「鎌倉市明るい選挙推進協議会」会員の方々で、以前から準備していた行政施設見学会として開催されました。一緒に参加する予定だった鎌倉市選挙管理委員会の方々は、急遽決まった衆議院選挙の準備があるため参加出来なくなったそうです。
参加者は高齢(最高齢者は92歳)な方々が多く、当方(65歳)のような若輩者は少数でした。


始めに訪れた「宇宙航空研究開発機構JAXA)相模原キャンパス」ではビデオで簡単な説明を受けてから見学が始まりました。


屋外展示されたM(ミュー)5ロケットに移動して説明を受けました。


展示された1段目と2段目は月観測衛星「ルナ」を打ち上げるために製作されたが、同じ目的の衛星「かぐや」がH-IIAロケットで先に月軌道に投入されてしまったために使われなくなったとの説明がありました。
「かぐや」打ち上げ費用に比べM5ロケットを使った「ルナ」の方が格段に安い事を丁寧に説明してくれましたが、安くても無駄にする方が無駄と私は思いました。

更にM3ロケットをもとに各部の機能についての説明がありました。


見学者も説明者(JAXAのOB)も共に高齢でしたが熱心に説明を聞いており、見学者の女性から具体的な質問が出されて説明者が困っていた事に正直驚きました。


展示スペースに移動しました。
小惑星探査機「はやぶさ」の実物大模型が展示されており各部の説明がありました。


はやぶさ」が小惑星イトカワ」から表土物質を持ち帰ったカプセルの模型と構成が展示されていました。


展示スペースには日本のロケット開発の先駆者である東京大学の故糸川英夫教授が作った「ペンシルロケット」が展示され、その後のロケット開発の歴史が判りやすく展示されていました。


ところが近年主力になっているH-IIAH-IIBの説明がありません。
説明者の話から宇宙航空研究開発機構相模原キャンパスは旧宇宙科学研究所(旧東京大学宇宙航空研究所)の流れにあり、糸川博士らが開発した固体燃料を使用したL(ラムダ)ロケットやMロケットを使用して科学衛星惑星探査機を打ち上げ、太陽の活動や月・惑星、ブラックホール、銀河の成り立ちなど、宇宙に関する研究を行っているところであることが判りました。
日本にはもう一つの流れとして旧宇宙開発事業団(旧科学技術庁所管)があり、液体燃料を使用した大型のH-IIAH-IIBを用いて通信・放送・気象・地球観測などの実用衛星の打ち上げを行っており、スペースシャトルに搭乗する日本の宇宙飛行士たちの活動などの支援も同じ宇宙航空研究開発機構筑波宇宙センター等で行っていることが判りました。
この大きな二つの流れはロケットの発射場も打ち上げ方法も異なっており、相模原キャンパスの研究衛星用Mロケットは鹿児島県内之浦発射場でロケットを傾けて発射し、実用衛星用H-IIロケットは鹿児島県種子島発射場で垂直に発射しています。


昼食は施設の中の食堂で頂きましたが、価格がリーズナブルで窓の外に広がる武蔵野の面影を残す木立を眺めながら頂いてきました。


食堂横の売店宇宙食として販売いていた「たこ焼き」と「宇宙のパン」を家内の土産に購入してから展示スペースに戻り、出発までのあいだ再び説明者と雑談する機会がありました。
雑談を自分なりにまとめると、固体燃料を使用したロケットは発射までの時間が短い事と発射速度が速いなどの特徴があり、軍事用ミサイルへの転用が容易である。そのためこれ以上の大型化は諸般の事情で難しい。現在小型化して価格が安いイプシロンロケットの開発を進めている。
一方、液体燃料を使用したH-IIAとより大型のH-IIBの信頼性と搭載重量が上がり、実用衛星だけでなく研究用衛星も一緒に打ち上げられるようになり、研究衛星用ロケットの開発が厳しい状況に置かれている。事実2007年以降Mロケットによる研究衛星の打ち上げ実績がなく、民主党政権になって特に厳しい状況となっている。
M5ロケットの説明で「ルナ」の打ち上げ費用が安いにもかかわらず実現できなかった悔しさが理解出来ました。
固体ロケット本体はM造船神戸製作所で製作し、液体ロケット本体はM重工名古屋製作所で製作している。衛星自体も数社で開発しており、それぞれが試験設備を持っているなど国家的見地から無駄があるかもしれない。
そんな中で小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還を成功させた事は相模原キャンパスの大金星(イトカワは直径500m程の極小の星)であり、壁面に貼られた映画「はやぶさ」の大きなポスターがそれを物語っていました。



次に「神奈川県総合防災センター」に向かいました。
厚木市の「神奈川県総合防災センター」はバスで1時間程の距離でした。


ここは私が勝手に想像していた災害時の危機管理センター的なものでなく、防災、減災の啓蒙活動の拠点でした。

地震体験コーナーでは私も阪神・淡路大震災レベルを体験しましたが、地震が起きると何もできないことがよく判りました。地震体験コーナーでは横振動だけ再現しており、これに縦振動が加わるとものすごく恐ろしいと感じました。


風水体験コーナーでは風速30mを体験しましたが、雨は加えていません。雨を加えた暴風雨体験は週末だけ行っているようです。


消火体験コーナーで消火器を使うときの注意説明があり、実際に消火訓練を行うことができました。


煙避難体験コーナーでは90cm以下にかがんで迷路を避難する訓練であるため、私は腰を痛めそうなので辞退しました。

その他、東日本大地震による津波の被害の紹介と災害発生時の心構えなどを紹介した映像を鑑賞し、展示室に置かれた消防の歴史資料などを見学することができました。



帰宅後テレビニュースを見ていたら、見学してきた宇宙航空研究開発機構JAXA)相模原キャンパスで有毒液体物質(亜塩素酸ソーダ)が外部に流出する事故があったことを報じていました。
私たちが帰った3時間後に発生した事故のようでしたが、周囲に被害がなかったことが幸いでした。