第290話 家内のトラウマ?


今年は子年ということで、家内が息子に語っていたネズミにまつわる家内のトラウマ(心的外傷)となった悲しいお話を紹介します。
家内は奥能登の古く大きなお寺に育ちました。
当時はどこの家にもネズミがいて、多くの被害が出ていました。
そんな被害の中で家内にとって悲しい事件が起きてしまいました。


小学校4、5年の頃、家庭科の授業で手提げ袋を製作したそうです。
家内は宿題となったその手提げ袋に、自分でデザインした猫のアップリケを縫いつけたそうです。
宿題がやっと完成した日の晩、家族団欒の会話の中でネズミの被害について話が出て、家内も子供心にネズミが憎らしくネズミの悪口を言ったそうです。

翌朝、学校に行く準備をしていたところ、完成した手提げ袋の猫のアップリケがネズミにかじられていました。
家内にとって一生懸命縫いつけた猫の顔の部分だけが被害に遭ったことが信じられませんでした。
前の晩にネズミの悪口を言ったことをネズミに聞かれてしまったのか? ネズミの宿敵である猫への反撃だったのか? とにかく大変なショックを受けたそうです。
更に、その作品が大変良くできていた為(ネズミにかじられたという話ではなく)、学校の先生からお母さんに作ってもらったのではないかとの嫌疑がかけられた事も心の痛手になったそうです。


今になって猫のアップリケがかじられた訳が少しばかり思い当たるそうです。
それは、猫を縫いつける前に御飯粒を潰して作った糊でアップリケを仮止めしていた為、この臭いでネズミがかじったのだろうという事でした。


今回、この悲しい話を家族にしたことでトラウマが少しだけ癒せたそうです。
下の絵は、家内が当時の作品と、ネズミをイメージして描いたものに息子が着色してデータ化したものです。