第277話 オルゴール


クリスマスプレゼントで貰ったオルゴールは、ゼンマイ仕掛けで奇麗な音色を奏でる不思議な箱でした。
オルゴールの中蓋を開けるとその仕組みが良く判るようになっていました。
小学校低学年だった私は、この不思議な箱の仕組みを興味深く観察するようになりました。


ゼンマイの戻る力を回転軸に伝える歯車と、この回転を一定に保つ為の羽根がついた軸があったことを今でも鮮明に覚えています。この羽根がオルゴールの蓋の開閉によって上下するピンで止められる事で演奏が止まるようになっていました。
肝心のメロディーと音階を決める仕組みは、小さなピンが沢山刺さった金属製の太い軸が歯車によって回転し、このピンが切れ込みを入れた金属の櫛を次々にはじいていく事で奇麗な音色を作り出していることに感心しました。


今振り返ってみると、この頃からメカ好きが始まったように思います。


現在、子供の興味をそそるような仕組みが良く分かるようなものがあるだろうか?
全ての機能が半導体の中に組み込まれ、最低限の部品構成で様々なものができすぎてしまっている事が本当に良いことか疑問に思います。
あの当時、色々な物の仕組みが知りたくて、壊しまくって叱られた事が何度もあったことを思い出し、学校や塾で習う理科が学習ではなかったと思います。


子供の興味を引くような物(ガラクタ)が沢山あった時代の方が子供達の自己学習の機会があったように思います。
ハイテクなゲーム機で溢れた時代に、このような仕組みが分かり、分解組み立てができるような玩具が有っても良いと思います。