第2243話 戦車砲装備百式司偵製作3


本機の最大の特徴である九五式軽戦車に搭載された口径37mmの九四式戦車砲を機首に取り付ける事にしました。
といっても九四式戦車砲は胴体内部に隠れてしまうため、完成後は見えなくなるもので、なにか私の意地のようなものかもしれません。
口径37mmの九四式戦車砲をインターネットで調べましたが詳しい資料が見つからず、あるサイトに九五式軽戦車のプラモ紹介写真が見つかり、これを参考にランナーとプラバンでそれらしいものを作り、ちゃんと砲口の穴も開けました。


出来上がった戦車砲にアイアン(Mr.METAL COLOR#MC212)を塗り、磨き上げた状態です。


機首の最先端上部に戦車砲の砲口用の穴をあけ、戦車砲を操縦席の計器盤下に取り付けました。


戦車砲の砲弾を込める部分は操縦者の左側にあるように、それらしく取り付けました。


ここで戦車砲を搭載した百式司令部偵察機II型が生まれた背景を渡辺洋二氏の著作『兵器たる翼』(潮書房光人社)から簡単に紹介します。
昭和17年(1942年)8月に米軍がガダルカナル島に上陸してから米軍の航空戦力による脅威が増し、ラバウルを中心に活動していた帝国海軍航空隊の消耗が激しく、帝国陸軍の航空隊にも参戦を要請し、帝国陸軍航空隊もこれを受けて「隼」戦闘機を派遣した。
日本軍の航空基地に飛来する米国の重爆撃機はB-24やB-17で、これを迎撃する海軍の「ゼロ戦」や陸軍の「隼」による銃撃では相当数の命中弾を与えてもなかなか撃墜するができなかった。
この事実が大本営御前会議で天皇に報告され、帝国陸軍の面目がつぶれた形となった。
当時「ゼロ戦」の20mm機関砲で落とせない爆撃機を「隼」の12.7mm機関砲で落とせるわけがないと揶揄する声もあった。
そこで帝国陸軍はもっと強力な武器を搭載し、且つ米軍機に負けない速度で飛べる航空機を急遽開発することになった。
その結果、当時最速の航空機である百式司令部偵察機II型に九五式軽戦車の主砲として使われていた口径37mmの九四式戦車砲を機首に取り付けたものを非常に短期間のうちに完成させた。
同時に帝国陸軍の二式複座戦闘機「キ‐46屠龍」にも同じ戦車砲を胴体中央下部に取り付けた二式複座戦闘機乙も作られた。
これらの生まれた背景や戦果については、同じ渡辺洋二氏の著作『双発戦闘機「屠龍」』(文藝春秋)に紹介されています。